ホメオスタシスによる制御

Regulation by homeostasis

ホメオスタシスとは「恒常性」もしくは「恒常性維持機能」という意味であり、コーチング理論においては、その人の価値観による現状を保つ機能として使われます。

もともとは医学用語であり、生命体が安定的な状態を維持するために持っている生命機能です。

例えば人間の体温は平均して36℃台であり、ほぼ毎日0.5℃以内の変化を保っています。これが毎日変動し、ある日は39℃、別の日は30℃なんて状態なら体が持ちません。

このホメオスタシスは、体温や身体の状況だけでなく、精神状態やその人の能力にも働いています。

ホメオスタシスが自分の成績を制御していた

スポーツ競技の成績などで、銅メダルあたりが自分の順位と思い込んでいる場合、たまたま金メダルが取れたあと、どうも頂点にいる自分に耐え切れなくなり(居心地が悪くなり)、次回5位くらいに落ちて、平均値を取ろうという風に脳が勝手にバランスを取ってしまいます。

これは顕在意識では金メダルを目指そうと思ってはいますが、潜在意識に刷り込まれた意識としては「自分はいつも3位」なので、実際の思いとは裏腹に平均3位の自分から抜け出せないのです。

どうしても現状を抜け出せない場合、過去の成績や周りの反応「お前はいつも3位だな。どうして銅メダルしか取れないのかなー。いつもあと一歩だね」などの影響により、「3位の自分」という価値観がいつの間にかできてしまい、潜在意識に強烈に刷り込まれている可能性があります。

よって、いつも一位が当たり前の人には、勝つことの方が簡単であり、負け癖がついている人は、なぜか負け込んでしまうわけです。

コンフォートゾーンとホメオスタシスの関係

ではホメオスタシスはいつ働くのでしょうか?この仕組みが分かれば現状を打破できます。

答えはコンフォートゾーンを外れた時に、ホメオスタシスが発動するのです。

コンフォートゾーンは、その人にとって居心地がいい範囲です。この範囲を飛び越えた時に、元に戻ろうとする力が働き始めます。

例えば自分の家の中にいるのが大好きな人が、どこかに連れていかれ、そこが文化も習慣も全く違う海外だった場合、早く家に帰りたくなります。

居心地の良い生活範囲から離れて不安が不安を呼び、一刻も早く帰りたくなるのです。急に体調を崩して即帰国せざるを得ない状況を作り出すかもしれません。次回海外旅行の話があった場合には、拒絶するか、急に熱が出て急遽行けなくなるかもしれません。

三日坊主はホメオスタシスの働き

  • ダイエットがいつもうまくいかない人。
  • 一時的に痩せてもすぐにリバウンド。
  • 勉強が続かない。初めてもすぐに飽きてしまう。
  • ジムに通い始めるも行くのは1ヶ月だけで、半年後に辞めて5か月分の会費を無駄にする。
  • 異性と付き合ってもすぐに分かれてしまう。

これらの現象は結局はホメオスタシスなのです。理想はあるものの、その理想とは真逆の状態がコンフォートゾーンとなってしまっている場合、希望とは逆の働きにより、いつも同じ生活が続いてしまいます。「なんでいつもこうなのか?」と。

  • 失敗への恐怖
  • 恥ずかしさ
  • 変化すること、未知の世界への不安
  • 面倒臭さ
  • 自責の念

自分を変えたいが、変えることへの不安が心のブレーキとなり、無意識のうちに失敗するような何かをしてしまいます。

コンフォートゾーンを移動し、夢を叶える

Comfort Zone

コンフォートゾーンを離れた時にホメオスタシスが発動するなら、そのコンフォートゾーンを思いっきり引き上げ、理想の状態がコンフォートゾーンになってしまえば、夢は叶います。

理想の自分になれます。そしてその幸せをずっと維持できます。

不幸な自分がコンフォートゾーンだから失敗ばかりする訳で、成功の状態がコンフォートゾーンになれば、一時的失敗がホメオスタシスを発動させ、また幸せな生活に戻れるように働いてくれます。そして幸福が維持できる。

だからお金持ちや成功者が一時的にミスをしても、すぐにまた新しい何かで元の地位に返り咲きます。これは元々そういう実力があるだけでなく、ホメオスタシスが後押ししてくれるからできるのです。成功の状態が当たり前の価値観であり、居心地の良い場所だからです。

高いゴール設定でコンフォートゾーンを移行する

コンフォートゾーンを移行するには、ゴール設定が必要不可欠です。

より高い位置に目標を設定し、その位置にいる自分を強い臨場感で感じることができれば、やがてその状態が自分にとって一番快適な環境となります。それが定着した状態がコンフォートゾーンなのです。

一人では難しい場合もあります。自分でモチベーションをキープするのは結構大変だからです。今の自分とは全く違う世界にゴールを作り出すので、サポートがあった方がより成功は近づきます。

コーチの必要性

そのためにコーチがいるのです。ゴールを共有しその世界に引っ張り上げるのがコーチの役割です。コンフォートゾーンを引き上げて、高みで維持するワークもあります。

自己啓発セミナーにちょっと参加したくらいで自分が変わらない理由がここにあります。

2日間のセミナーに30万出して参加しても、一時的にパフォーマンスは上がるでしょう。しかし1ヶ月後には習ったことをやっていない、元の自分に戻ってしまうでしょう。いつしかセミナーの内容も忘れてしまうかもしれません。

コーチングでは1ヶ月に1度対面セッションを行い、半年間かけて完全にコンフォートゾーンを移行し、定着させます。それくらいの期間が必要なのです。当たり前ですよね、何十年もずっと過ごしてきたあなたの価値観を根本的に変えるのですから。

変わったあとは、逆にホメオスタシスが味方につきます。成功が当たり前の状態なのですから、ちょっと間違いをおかしても元の成功に引き戻してくれます。このような生理的機能や脳の仕組みを完全に理解し、有効的に使うことにより、誰も幸せになれるものです。

そう、誰でも、です。

今までは知らなかっただけ。

成功には成功の法則があり、法則は裏切ることはありません。重力により物が下に落ちるように、航空力学により飛行機が空を飛ぶように、適切な法則はその通りに働くのです。

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